「ライヴカルチャーを週末だけの娯楽にしたくない」 人気ロックバンド「スピッツ」が2023年の全国ツアーで、土日祝日と平日でチケット価格に差をつけること、平日の公演開始時間を19時にすることを発表し、話題を呼んでいます。 そのうえ、一定以上の人気を集めるアーティストがライブできる大きな会場は限られるため、取り合いになっている現状があると言います。 仕事帰りの平日夜にも、生のエンターテインメントに触れてほしい。 その思いを込め、スピッツは今回のツアーから平日公演のチケットを一番安く、次いで日曜祝日、最も集中する土曜日は一番高く設定することに。 「アミューズメントパークや宿泊施設、航空券などの世界ですでに行なわれている、需要と供給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングの一種と考えていただければ」と説明しています。

平日と土曜で3000円以上の差

実際に今回のツアー日程を見ると、全45公演のうち、土日祝日の開催は11公演にとどまり、多くが平日19時スタートに。 具体的な金額は地域や会場によりますが、最安値は7800円で、最高値は1万1000円となっており、3000円以上の差があります。 週末2日間で開催するKアリーナ横浜やマリンメッセ福岡では、土曜日は1万1000円、日曜日は1万円と、同じ会場でも1000円の傾斜をつけています。 一方、「子どもがいると、平日夜は預け先がないから難しい」「日帰りできない時間だと、結局2連休とらないといけないので厳しい」など複雑な声も寄せられています。 コメントの後半では、「今回の発表に戸惑う方は少なからずいらっしゃると思っています」「今回の試みが正解かどうかの結論はまだ先になる」ととしつつ、「限られた会場での土日祝日開催という現状を変え、平日の開催を増やしていくことが必要という思いのもと、最善の形を探り続けていきたい」と、今後もこの形を続けていく決意を表明しています。

スピッツのコメント全文

今、日本のライヴ事情は土日祝日にお客さんがもの凄く集中してしまうという現実に直面しています。特に土曜日への集中が顕著です。 開催する側もなんとか土日祝日に行ないたいという考え方の興行がとても多くなっています。その状況に強い危機感を覚えていました。 スピッツは、以前から平日開催を積極的に行なってきています。 これは、多くのライヴが週末開催に向かうことで土日の会場が取り合いになり、押さえることが難しくなっているという現実を受けての結果でもありますし、ライヴカルチャーを週末だけの娯楽にしたくないと考えての動きでもあります。 働き方や生活スタイルが多様化してきている現代において、もっと平日の夜にライヴに足を運びやすくなり、ひいてはエンターテインメントに触れられる方たちの数が増える形を模索していきたいのです。 その一環として、今回から平日公演のチケット料金を一番安く設定させていただきます。段階的に、次が日曜・祝日、土曜日が一番高いという形です。 アミューズメントパークや宿泊施設、航空券などの世界ですでに行なわれている、需要と供給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングの一種と考えていただければと思います。 そして、平日の公演はすべて19時開演にさせていただきます。 今まで多く行なってきた18時30分開演から30分遅くすることにより、「開演時間に間に合うならライヴに行こう」と思ってもらえる人が増えることが重要であり、その可能性は十分にあると考えた結果です。 もちろん、都市部以外では公共交通機関などの問題でアンコールを待たずに会場を後にしなければならない方が増えることも考えられますが、それよりも本編を最初からしっかりと観ていただきたい、それが可能な方たちが増えるのなら、という思いを実践に移した格好です。 また、多くの町では1公演のみの開催になります。それが土日祝日の場合、他の町の平日公演よりもチケット料金が否応なく高くなります。その町に限れば、選択の余地はなくなることになるわけです。 今回の発表に戸惑う方は少なからずいらっしゃると思っています。ですが、今回が第一歩なのです。今後、スピッツのツアーは全国どこでも平日が一番安く土日祝日はそれよりも高いという形になると考えていただければと思います。 今回の試みが正解かどうかの結論はまだ先になるとは思いますが、これを機に全国で生のエンターテインメントに触れられる機会を増やしたい、それには限られた会場での土日祝日開催という現状を変え、平日の開催を増やしていくことが必要という思いのもと、最善の形を探り続けていきたいと考えています。 何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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