弁護団が2月9日、記者会見で明らかにした。YouTube動画を含む15件についても、法務局はヘイトスピーチであると認定し、事業者側に「情報提供」を行ったという。 女性側の人権侵犯被害申し立てを受け、法務局は2022年12月までに削除要請などを行った。「まとめサイト」の記事はすべて削除されたが、Twitterの書き込みの大半はそのまま放置されているという イーロン・マスク氏が同社を買収したのち、大規模なレイオフを実施。ヘイトスピーチなどに関わる部署も大幅に削減されたことが明らかになっており、状況の悪化を懸念する声もあがっている。 (注:問題の実相を伝えるため、この記事にはヘイトスピーチに当たる内容が含まれます) 崔さんはこれまでも同様の申し立てをしており、これで3回目。弁護団によると、民法上の不法行為に当たるとして法務局が事業者側に削除要請したのは、39件のツイートと、まとめサイト6記事の計45件。 これらのほか、「ヘイトスピーチ対策法」に定められた差別的言動に当たるとして、法務局は1件のツイートとYouTube動画1件について事業者側に情報提供した。 ツイートはいずれも、「被害者ビジネス。本気で帰ってほしい」(侮蔑、排除型)や、「いますぐ日本から出ていけ!」(脅迫、排除型)、「死ねチョン」(脅迫型)という、ヘイトスピーチの3類型(括弧内は弁護団)に分類されるもの。 また、まとめサイトの記事は、「嫌なら帰れよ」「国外通報するしか無い」などという侮蔑、排除型の書き込みをまとめたものだった。 一方、差別的言動と認定されたYouTube動画は、「祖国にお帰りください」(排除型)などの発言があった「VTuber」の動画。再生回数は6000回以上にのぼり、コメント欄にも複数の同様の差別書き込みがあった。
Twitterでは放置…マスク氏買収の影響は?
同局人権擁護課によると、削除要請は一般ユーザーと同様にヘルプセンターを通じてされている。要請に応じるかは事業者側の判断になり、削除されないケースもある。その場合は2度目の要請をする場合もあるという。 崔さんの前回の申し立てでは、要請されたツイート156件のうち60件が数ヶ月以内に削除されたが、依然として放置されたままのものも多い。 師岡康子弁護士は「法務局が不法行為を認めたようなあからさまな投稿も削除しないというのは、企業としての責任を果たしていないのでは」と語る。崔さんは「ネット上で自由に差別ができ、人を攻撃してしまうことができる以上、被害は止まらない。法規範が必要」と話した。 イーロン・マスク氏は昨秋、Twitter社を買収し、大規模なレイオフを行った。コンテンツのモデレーションやヘイトスピーチや誹謗中傷などに対応する部署も大幅に縮小したことが明らかになり、日本でも人員削減などが行われた。 その影響で対応の遅れなどが起きているのかどうかは、現時点では分からないが、差別書き込みなどに関する状況の悪化を懸念する声は少なくない。 BuzzFeed NewsはTwitter社に問い合わせを試みているが、マスク氏は広報担当部署を大幅に削減しており、日米いずれでもメディアからの取材要請の多くは実現していない。 同社日本法人の関係者からは、「現在日本には広報がおらず、対応は難しい」という説明があった。別の関係者によると、日本法人の広報担当者の多くもレイオフの対象となったという。